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2006年3月31日 (金)

職人監督

Akunok 鈴木英夫監督特集

BS2で、鈴木英夫監督特集をやっている。
映画ファンを自称し、脚本家なんて仕事をしながら、正直言って鈴木英夫監督を意識したことはほとんどありませんでした。
この特集で、二本の作品を見させてもらったんですが、その面白さと技術の高さに驚きながら、楽しませていただきました。
すばらしい監督です!  職人芸!
すっかりファンです。

見たのは、『奴彼を逃すな』『非情都市』
両方とも、たぶん50~60年代の東宝映画。白黒映画です。
いい役者も出ていて、二本映画全盛期の充実を感じます。
大作じゃないんだけど、すごく丁寧につくってあって、キレを感じます。
たしかな技術力を感じさせる作品。

この鈴木監督、70年代からはテレビドラマをたくさんとっていて、作品には僕もずいぶんふれていたんだと思います。
当時のテレビドラマが面白かったのは、映画全盛期に実力をつけた監督たちが、テレビドラマに流れてきて、その技術力をふるっていたからなんだと、納得しました。
今みたいにビデオじゃなく、フィルムで撮影しているドラマが多かったしね。

エンターテイメント作品というのは、たしかな技術に裏づけられているんです。

で、この鈴木監督作品なんだけど、エンターテイメント作品をきちんと作りながら、そのなかに自分のタッチをきちんと出しているあたりがいいんです。
この人は、この絵を撮りたかったんだなぁ。
そういうところが、よく見えます。
マニアックな感じがステキです。

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2006年3月30日 (木)

ワークショップとタイ式と脚本技術

ワークショップとタイ式マッサージと脚本

アユリテアトルというカンパニーのワークショップに招かれていたので、行ってきた。
このカンパニーは、以前にも書いたけど、フランスのルコック演劇学校の卒業生たちがつくったもの。
いろんな国の若者が参加している。
今回は、カナダとスウェーデンと日本のコラボ。

ルコックさんは、もう亡くなってしまってるけど、その遺志は演劇学校という形でつづいている。
世界各地から集まった演劇青年たちが一緒に育つ場というのは、いい場所だ。
ナショナリティは、とても大切だが、それらを越えて、一つにつながっていくことに、演劇の役割の一つがあると思う。
そこには平和の芽がたしかにあるはず。
エンターテイメントの力は、宗教や民族をかならず越えられるはず。
そう信じている。

戦争してる国とか、民族とかは、ぜひ一緒に芝居をやってもらいたい。
そりゃ、いろいろぶつかることはあると思うけど、きっと面白いものがつくれて、仲良くなれるはずなんだけどなぁ。
政治は、まつりごと。
まつりごとは、祭りごと。
祭りは、人があつまる。そして、そこには歌や芝居がある。
家族があり、笑いがある。

アニメや演劇で、僕は世界とつながろうとしている。
つながることで、きっとみんなが笑顔になれると思うから。

そういう思いもあって、ぼくはこのアユリの若者たちを応援しているわけ。

ワークショップでは、ウォーミングアップしたあとに、即興をやった。
ぼくも久しぶりの即興を楽しんだ。
はじめての相手と、けっこういいシーンがつくれたような気がした。
それにしても感心したのは、いまの若い役者さんは、即興がうまい。
感心することばかり。

間に、タイ式マッサージをはさんで、友人I井の出演している芝居を見に行った。
今回、ふらりと入ったタイ式マッサージ屋さんには、まじびっくり。
ノックして、部屋にはいると、そこにはいくつかふとんがしいてあって、子供とおばさんがそのふとんの上でテレビを見ていた。
「いらっしゃい」
「えっ、いいんですか?」
「もちろんです……」
  このおばさんは、日本語ができるみたいだけど、子供はあきらかにタイの人。
「お客さんよ~~」
おばさんがキッチンに向かって声をかけると、その子供の母親らしいタイ人のおばさんが、口をモゴモゴさせながら現れた。どうやら食事中だったらしい。
  なんだかドア一つで、違う世界に迷いこんだような気分になる。
 こりゃ、芝居より面白いかも。
 で、マッサージを受けることに。
 このおばさん、背中をゴリゴリしながら、なんだかおれにタイ語で話しかけてくる。
「おれ、タイ語はわかんないっす」と、焦ってると、おばさんは携帯で誰かとはなしてるのだった。
 おいおい、そりゃないぜー。
 こりを、バキバキほぐされちゃいました。
 ちょっと痛かった。
 ていうか、かなり痛かった。
 しばらくすると、子供が「お母さん、19分だよ」と報せにきた。
 20分までに出してくれと言っておいたのだ。
 だが、お母さんは、それを無視して、背中をゴリゴリしづづける。
 おれは芝居に行かなきゃならないんだよー。
 焦ってると、首もボキボキッてやられた。
 この超家庭的タイ式マッサージ、面白かったけど、たぶんもう二度といかん。

 で、今回の芝居。
 いい芝居の時は、がんがん宣伝するんだけど、あんまりできがよくないときはコメントを書くはつらい。
 やっている人たちを傷つけるようなことも書きたくないしね。
 友人のEY君が出演しているので、見に行ったわけだけど、脚本と構成に面白みが少ないので、やはりそれ以上にはなっていなかった。

 脚本の技術は、芝居をやる人、見る人、すべての幸せのために必要だ。
 僕が今までやってきたことは、この技術をたくさんの人たちにひろめるためにあったのかもしれないと思う。

 ここに書きたい人がいる。
 その書きたいことは、とてもピュアで、芸術的な野心に満ちている。
 しかし、その美しい野心を表現するための、技術力がわずかに足りない。
 そのために、多くの人が幸せになれないでいる。
 あとちょっと技術があれば、それは大逆転。
 称賛と、幸せが、そこに満ちるだろう。

 「ああ、この作家に、いろいろ教えてやりたい」
 そんなことを思いながら、芝居を見つめていた。
 大きなおせっかいと言われるかもしれない。
 自分はそういうものをやりたいんじゃないんだと、言われるかもしれない。
 でも、僕は、技術はないより、あったほうがいいと思う。

 で、果たして自分にそんな技術があるのかといえば、それは自分でもはっきりとはわからない。
 技術らしきものがあるとしか言えない。
 面白くなるかもしれない技術。
 それでなんとか三十年近く生活してこられた技術。
 そしてパッション。

 見せたい情熱。
 面白がりたい情熱。

 こんなチマチマしたことが、僕にとってはすごく面白いと感じられるんですよ。
 超家庭的タイ式マッサージも面白かったけど。

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満開に思う

Dsc00529 満開です。
代々木公園の桜、満開。
もう、散り始めるなぁ。
みんな写真取ってる。これは、桜に対するレスペクトなのだ。

書かなければならないものがあるのだが、締め切りなんだが、まだ手をつけられてない。
準備が足りない感じ。
たくさんの人を幸せにするための脚本。
それをつくるためには、ちょっとだけ僕は、あせったりする。
早く、これを幸せに、楽しむ感じで、ぐんぐんやれるようになりたいもんだ。
もう二十年以上書き続けてきて、いまだにこんなこと言ってます。
いや、そろそろ三十年か……
進歩が遅いっす。

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2006年3月28日 (火)

ツアーガイド

Imgp2839 台湾からのお客様を案内して、明治神宮と表参道を案内した。
中国語ができるわけじゃないので、めちくゃちゃブロークンな英語でのツアーガイド。
彼女たちは、台湾の製作会社のスタッフたち。
台湾と日本で合作したアニメ作品が、中国大陸で放送されているのだ。

中国国内の情報はあまり伝わってこないけど、中国の子供たちが、自分のつくったアニメを楽しんでくれていると思うと、なんだかうれしくなってくる。
いずれは中国と日本の子供たちが、おなじアニメの話題で盛り上がれるようになるといいなと夢想する。

台湾のほうには、日本のアニメも漫画も自由に入っていっているので、サブカルチャーでは日本と台湾にはほとんど壁がない。
この台湾のスタッフたちのほうが、ぼくより日本の漫画やアニメについては詳しいくらい。
まだまだクリエイトの部分では日本のほうが一歩先を行っているが、いずれは追いついてくるかもしれないと思う。

ただ中国大陸のほうは、まだまだ著作権とかにかんして、かなりルーズらしいので、そのあたりが改善されていかなければならない。
われわれ作家にとっては、死活問題だもんね。
そういうものがクリアになれば、中国13億は、すごいマーケットだ。
日本のアニメと漫画が、世界をつないで、一つにしていくことを想像してみる。

漫画とアニメが、子供たちの心をつないで、世界が平和になっていければなぁ。

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2006年3月27日 (月)

奥歯不調

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                                                    かぶせものをしている奥歯の調子が悪くて、気になって気になって、調子崩してます。
口の中というのは、実に大切な場所なんだなぁと、いまさらながらに歯医者を尊敬。
早く行かなきゃ。

そう思いながらも、仕事のことが気になって、外の桜も気になって、ソワソワしてます。
仕事はもちろんすすまないし、もうっ感じ。

昨日の桜は、こんな感じ。
花見でいっぱいでやんした。

一つ、いい感じの花見客を発見。
桜の木の下の、音楽家。
ミニコンサートが聞きたかったよ。

一句思いおもいたった。
『桜風  散らないように  そっと吹け』

家に帰ったら、TSUTAYAからレンタルDVDが宅配されていた。
教え子の東放学園高等専修学校の一期生が出演していた、『バトルロアイヤル2』を、いまさら見る。
僕の教え子二人は、映画がはじまって早々に殺されてしまうのだが、どこで殺されたのかわからなかった。
そりゃあないだろーと思いつつ、とうとう最後まで見てしまう。
もしや生きているのではと、探しつつ。
残虐なシーンがたくさんあるので、そういうのが苦手な人は見ない方がいいです。

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2006年3月26日 (日)

八王子脚本教室5回

八王子脚本教室5回目(最終日)

ちょっとレポート遅くなっちゃったけど、八王子脚本教室の最終日、無事終了しました。
今までやってきたウォーミングアップをじゅうぶんやって、参加者の人たちが書いてきてくれた脚本の本読みをたっぷりやりました。

たくさんの笑顔と、たくさんの緊張の中、発表も無事終了。
(時間の関係で、何人かやれない人がでるほどの盛況でした)

以前に書いたこともある人も、初めて書いた人も、他人の前で自分の作品を発表できたというのは、ファシリテーターとしての僕にとっても大成功。
恥ずかしさの壁を乗り越えて、人前で表現できるようになれて、その作品を人が受け入れてくれるということを体で感じれば、もうしめたもの。
あとはほっといても、きっと彼らは書き続けてくれることでしょう。
脚本も、スポーツとおなじで、やはりつづけることが、うまくなるための最大の秘訣ですからね。
ワクワク楽しむ気持ちを胸に、彼らがつづけてくれることを祈るのみです。

今回の参加者のみなさんは、本当にバラエティにとんでいて、ユニークな個性の持ち主ばかりでした。
脚本家としての僕が、『本当にごちそうさま』と言いたいくらいキャラクターの宝庫。
たくさん、いただかせていただきました。

またきっとどこかで会えることを楽しみに、みなさんさようなら。

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2006年3月23日 (木)

宝隠し

『樹とか花とかに興味が行くようになったってことは、歳取ったということなんだよ』
  と、友人のOに言われた。
 桜の蕾がふくらんだのや、もくれんの花がきれいに咲いている写真を見せた時だ。
 ちょっとムッとしたけど、たしかに歳は取ったことにはちがいない。
 もう若いとは思ってないけど、俺は、昔から公園が大好きで、ずっとこのスタイルは変えてないつもり。

 今日も、公園の桜の開花情報を書きます。
 公園にある、気の早い桜じゃなくて、大半の桜の樹は、花の蕾を枝に抱えて、もうすぐ、もうすぐって感じです。
 舞台の袖で、出を待ってる役者さんみたい。 DSC00440

 

   

 

  木蓮は、満開。
 早く見に行かないと、これはすぐに散ってしまいますよ。
 ほんとに、このモクレンという樹はゴージャスです。
 真っ白のスーツで決めた伊達男って感じ。
 女性なら、ウェディングトレスかなぁ。DSC00450

DSC00454 

DSC00447
                                                                                                                        気持ちよく歩いていたら、こんなボールが落ちてました。
 「なんじゃ、こりゃ?」
 もしかしたら、足で蹴り会うバレーみたいなスポーツ用のやつ?
 ちょっと蹴ってみたら、とたんに面白くなり、作家の妄想が広がりだしました。
 「これは宝物なんだ、海賊に見つからないように、どこかに隠さなければ!」

 宝のボールを隠す場所を探して、代々木公園を歩き回りました。
 いざ隠し場所を探すとなると、けっこう見つからないもんですね。
 誰も知らない場所に、この宝のボールを隠すんだ。
 少年のころ、家の庭で、おんなじように宝物を隠したことを思い出しました。
 あの僕の宝物は、いまでも昔の家の庭に埋まっているんでしょうか。

 代々木公園には、ジャッキーが隠した宝のボールがあります。
 それを見つけた人には、きっと幸運が訪れることでしょう。
 なんの根拠もありませんが、僕が保証します。

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 歩いていると、面白いものをいろいろ発見します。
 グラマーな樹を発見。
 なんだかセクシーでしょ。

 いろんなものが、語りかけてきます。
 世界は、僕らに一人じゃないって言ってます。

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2006年3月21日 (火)

春トウライ

もうすぐ桜です。
その前に、代々木公園の桜の状態をレポートしますね。
携帯画像ですが、お楽しみください。
春の訪れとともに気持ちもポジティブでいきましょう。
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2006年3月20日 (月)

春の青空に

五年生が、首吊り自殺。
そんな記事が目に飛びこんできた。
しかもその記事には、担任教師とのトラブルが、自殺の引き金になったというようなことが書かれている。
この記事だけでは、真相はわからないが、いったいなんでという思いがつのる。

なんとかこの少年を救えなかったものか。
自殺の被害者は、その当人だけではない。
家族。そして、死の要因になった人すべてが被害者になる。
みんな心に深い傷を負うことになる。
深すぎる傷を。

われわれが住むこの国では、一年間で三万人以上の自殺者が出ている。
つまりその何倍もの被害者が、毎年生まれているということだ。
これは戦争とおなじくらいひどい現実だ。

今日は、一人でも、その被害者が少なくなることを、春の青空に祈る。

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2006年3月18日 (土)

八王子脚本教室4回目

八王子脚本教室4回目

八王子に特急券買って、あずさで行くなんて、ありえない!
との友人の助言にしたがって、今回は、はじめての京王線に乗ってみることにした。
新宿発の準特急ってやつに、ワクワクして乗ってみる。
すると、なんじゃこりゃ~~。
満員ギュウギュウの通勤列車じゃー!

なんせ毎日が夏休みの、おきらく脚本家は、通勤列車には慣れておりません。
まわりを見わたせば、コート姿の中年サラリーマンたちが、防音ヘッドオンと文庫小説で武装し、いたって快適そうにこのギュウギュウすし詰め状態を、楽しむ余裕すらみせているではないですか。
また、勉強させていただきました。

途中からは空いてきて、残りの八王子までの二十分くらいは座って行くことができたのだった。
なるほど、JRより早かったような気がする。
しかし、今度は京王八王子駅前からの道順がわからん!
けっきょくJR八王子駅まで出てから、知ってる道をたどることに。
結局、いままでで一番時間がかかってしまったのでした。
約一時間半。家を出てからは二時間近くかかってしまった。
こういう通勤を毎日しているサラリマンの人たちがいるんだなと思い、尊敬の念にひたるのだった。

ついに、八王子脚本教室も4回目。残すところ、今回を入れて、あと2回です。
だんだん親しくなってきたので、このメンバーの顔を見るのも、あと2回。
人生、一期一会。
がんばるぞっと気合を入れてワークショップを始めるのだった。

○ウォーミングアップ
  きょうは名前覚えるゲームの一つで、『ヒットマン』というのからはじめる。
 これは説明するのがめんどくさいので省略。

 これをやりながら、今日はゲームという感覚について、参加者にわかってもらおうと、自分なりにテーマを設定した。
 ゲームって、いろいろな意味があるとは思うけど、脚本(プレイ)を書くためには、この『ゲーム』というのもキーワードになる。

  いつもゲームをしている気持ち。
 ワクワクするような緊張感を楽しむ感覚。
 それを維持しながらストーリーをつくっていくこと。
 まず、これが大事です。

 そこで『だるまさんが転んだ』を、全員でやることにする。
 中学生から、六十代までが一緒になってやる、だるまさんが転んだ。
 部屋の隅からスタートとして、反対側の鬼にタッチするまで。
 こんな光景、見たことない。
 六十代の人にとって、だるまさんが転んだをやることなんて、たぶん何十年ぶりかだったろうと思う。
「みなさん、鬼にむかって止まってるときに、少しでも前に進もうとする、ワクワク感を大事にしてくださいね」
 そう声をかけながらやる。
 鬼に名前を言われた人は、もとの場所にもどって何回でもチャレンジするというルール。
 人は止まっている時も、内側では激しく気持ちが動いているんだということを、また解説。
 ドラマでも、大事なことは、人間の内側の気持ちが動くこと。

 次にもう一回、途中に障害物を置いて、おなじゲームをやってみる。
 すると、さらに面白くなる。
「ここで、一回目の講義を思い出してくださいね。ドラマも、トラブル(障害)が多ければ多いほど面白くなるんだって行ったでしょう。これがゲームなんですよ。お芝居も、同じなんです!」
 と、解説。
 みなさん、納得。

○書いてきたストーリーを、演じてみる。
 前回出した課題の短いシーンを何人かの人が書いてきたので、それをさっそくやってみることにする。
 なかなかいいシーンがいくつかできていた。
 そのシーンを、作家が指名した人に演じてもらうのである。
「だれか、これを演じてくれる人いませんか?」
 そう声をかけてみるが、なかなか手をあげてくれる人はいない。
 そりゃそうだよね。この講座は脚本講座で、人前で何かやらされるなんて思いもよらないことだろうし。
 でも、戯曲を書くということは、それを他人に読んでもらうということである。
 他人に、そういう緊張を強いるということなのだ。
 自分で、それを読んでみたり、自分の書いたセリフを人が声に出して読んでいるのを聞くのは、とても大事なエクササイズなのである。

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2006年3月10日 (金)

八王子脚本教室3回目

八王子脚本教室3回目

  今回も、特急列車指定席で八王子に向かう。
 特急券は、千円十円。
 でも、前日、ほとんど睡眠が取れてなかったので、座って眠りたかったんだ。
 それで寝れたかというと、そうじゃないから、なかなかうまくいかないもんだ。
 生徒さんを前にして、講義をやるっていうのは、一人芝居をするくらいの気合とエネルギーがいる。
 体調不十分じゃ、満足なパフォーマンスができるわけないから、電車のなかでなんとか体調を良くしようと呼吸をととのえた。
 それでも、会場に向かう途中で、栄養ドリンクとか買って飲んじゃったよ。

 今日のワークショップも、心と身体のウォーミングアップから。

 輪になってすわりリラックス。三回目の名前クラップ。それぞれお互いの名前を覚えて、みんな親しくなってきました。

 できるだけ早く反応する力をあげるために『アイウエオサークル』ゲーム。
 真ん中に立った人から、指さされたら、すぐに何か声を出すというウォーミングアップ。

 次に、ちょっと前回までの復習の意味もこめて、いくつか物語作りの要点を解説。
 それを意識しての、『ワンワード昔話作りゲーム』
 みんなかなり慣れてきたので、すんなり作れるようになってきました。

○舞台で、役者が持つ感覚とはどういうものなのかということの説明。
 輪になった状態から、一人ずつ前に出て中央に立ってもらう。
 そして、人に見られて、その前に立つということは、肉体的に精神的にどういうことが自分の中に起きるかということを感じてもらう。
 これこそが舞台に立つときに、役者たちが感じる雰囲気なんだということを、舞台経験のない人たちに感じてもらいたかった。
 そういう状態になる人たちのための言葉を、われわれ脚本家は書くんだということ。

 次に、一回目に書いてきてくれるように頼んでいた、自己紹介文を使うことにする。
 その場に立ってもらって、その自己紹介文を読んでもらった。
 なかには、文を持ってくるのを忘れた人もいて、自分の言葉で『自己紹介』をしてくれた。

○いまこの瞬間、われわれは上質な演劇的なシーンを目撃していたんです。
自己紹介パフォーマンスのあとに、ちょいと解説。
いまわれわれは、すごく面白い演劇的シーンを見ていたんだということ。
リアルな登場人物が、自分の本当の言葉でしゃべっている状態が、いかに面白いかということを体感していたんだということを。
「十八人の人が、一人何分かずつ喋っていたんだけど、聞いていてちっとも飽きなかったでしょ。いまのは、とても上質な芝居を見ているのと、すごく近いものだったんですよ」
 もちろん、この自己紹介は、芝居ではなくまさにリアルなんだけど。
 参加者の人たちには、リアルの面白さがわかってもらえたと思います。
 人物がリアルに心を動かして話すという状態が、面白いんです。

○参加者が書いてきたものを、声に出して読んでみる。
 さて、いよいよ参加者の人が、書いてきてくれました。
 一人(ヨコチャン)が書いてきたのは、近所のおばさんの会話のスケッチ。
 参加者の人たちのなかから演じてくれる人に出てもらって、それを読んでもらいます。
 自分の書いた言葉を、役者が演じてくれることの、喜びを味わってもらいます。
 そして、演じる側は、作家にそういう喜びを与えているんだということを理解してもらいます。
 芝居は、書く人間と演じる人間の共同作業がうまくいってこと、おもしろくなるんだということを、ここでもまた解説。
 なぜ芝居を書きたいのか、それを上演するときの喜びとはなんなのか。
 そういうものを体感して、理解していくことで、実際自分が書くときに、それが上演されるときのイメージをつくりやすくなるはずなんです。

○すごいものを中学生が書いてきた。
「あたしも書いてきたんです」
 そう言ったのは、中学生(リリコ)。彼女は、男の子一人と女の子二人が教室でなにげない日常の会話をするシーンを書いてきていた。
 それを彼女と僕と、もう一人の参加者で読んだんだけど、そのセリフは、まさに今の中学生たちの生の会話。
 いま、その現場にいないと、けっして表現ができないニュアンスをもったものばかり。ぼくなんかは、正確に読むことすらできないものだった。なんとか喋ろうとするんだけど、実際は、こうじゃないんだろうなぁという思いの発声ばかり。もちろん大人たちには、聞いていても理解できない言葉が次々に出てくる。
 しかし、これこそまさにリアルなセリフをスケッチしてきたものだった。
 しかも、受験という問題をかかえる自分たちの気持ちを、さりげないやりとりのなかにうまくいれこんでいて、ちゃんとシーンとしてなりたっているものだった。
 正直、おどろいたし、感心!
 絶対に、僕には書けないセリフばかり。
 うまく指導してあげれば、とんでもなく面白いものが作れるかもしれないという予感さえしてくるのでした。
 彼女の今後に期待です!

○さてあと二回で、なんとかみなさん脚本を書いてみましょうよ。
 ってわけで、課題を出しました。
 短い芝居のアイディア。
 それを来週と再来週の二回で、書き上げて発表してみます。

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2006年3月 3日 (金)

脚本教室2回目

八王子脚本教室2回目レポート

先週はおくれたあずさ29号が、今回は定刻に発車してくれた。
おかげで八王子には時間通りについたのだが、今回は雨が降っている。
傘がなかったし、時間もあんまりなかったので、タクシーで行く。

今回は、名前クラップで開幕。
お互いの名前と顔をおぼえてこそ、リラックスしてその場にいられる。
そういう意味でも、このウォーミングアップは大切だと思う。
簡単なゲームをやりながら、失敗して笑うことで緊張がほぐれていく。
とてもいい雰囲気だ。

次に、昔話作り。
輪になったメンバー全員で、一言ずつをつなげて、昔話をつくっていく。
ときに、とんでもない展開となっていくことを楽しみながら、自由に発言することへの壁を取っていく。
順番がきたら、前の人の言葉につなげて、何かを言わなければならないので、あまり考えずに言葉を発するということのウォーミングアップになる。
このゲームには、一つの物語を全員でつくることでの、共感と、物語作りを楽しむという根本の心を呼び覚ます効果があると僕は思っている。

ウォーミングアップで、みんながほぐれたところで、本題に入る。
今回は、主人公の作り方を話す。
主人公が、なぜ大事なのか。
どうやったらお客さんの共感を得ることのできる主人公にすることができるのか。
そういうことを、みんなで考えながら答えを考えていく。

みんな、たくさんのドラマや映画、芝居を見てきているので、言語化していなくても、主人公作りの要点はわかっている。
ぼくは、それを言語化して、再確認させてやる。
それだけのことで、ドラマ作りの、第一段階がはっきりと見えてくる。

前回、主人公のキャラクターについて、好きな物とか、嫌いなものとかを考えるエクササイズをやったのだが、そういうことがここで活きてくることがわかってもらえたようだった。
どんなストーリーであろうと、登場人物が活き活きとしていなければ、面白くない。
ドラマの中で、人物が生きていることが、大事なのだ。

さまざまなドラマや映画の例を出して、主人公のキャラクターが大事であることを説明した。
その話のなかで、主人公以外のサブキャラクターの大事さにも言及。
とくに、最大の障害(トラブル)となる、適役、またはライバルの存在も。
たまには、主人公自体がトラブルメーカーの場合もあるが、多くの場合は、主人公に立ちふさがる存在として、敵役やライバルがあらわれてくる。
これが魅力的でないと、ドラマは面白くなっていかない。

次に、短い脚本をつかって、芝居の面白さは、舞台上で立ち上がる空気感を役者と観客が共有することであるということの話をする。
使ったのは、この体感脚本講座にもたびたび登場する劇団ハイバイの岩井秀人氏のワークショップ用のもの。
参加者に脚本を配ったあと、参加者の二人に協力してもらって、実演をした。
いわゆる『本読み』である。

これから脚本を書いていくうえで、役者による本読みは、脚本家にとって、とても刺激的な作業場になるということを実感してもらいたかった。
書いた脚本は、声に出して演じることで、はじめて立ち上がってくるのである。

参加者たちも、文字で読むのと、実際に演じてもらうのとでは、空気感が全然かわってくることに気づいてくれたようだった。

最後に、前回、脚本を提出してくれた、関口氏の『時代劇』についての講評をした。
関口氏は、自ら殺陣をやっている人で、自分の面白いと思う殺陣を表現したいために脚本を書いたらしかった。
そういう意味では、脚本を書くモチベーションがはっきりしているだけに好感が持てる脚本だった。
脚本のなかから、小難しいテーマや主張を書きたいのではなく、自分は殺陣をやりたいんだという気持ちが伝わってきていた。
しかし、やたらと説明のセリフが多く、観客を置き去りにして、ドラマがはじまっている印象があったので、そこを指摘した。
やりたいことを観客に見せるためには、まず観客を自分の土俵に連れてくる必要があるのである。
それが成功すれば、あとはなんでも好きなことがやれるのだ。
脚本家は、まず観客を味方につけることに努力しなければならない。

脚本教室の時間内では、関口氏へのアドバイスが終わらなかったので、駅前の喫茶店に移動して約一時間の講義となった。
なんでここまでと自分でも思うのだが、若くて自分の可能性を伸ばそうとしている人を前にすると応援したくなってしまう。
彼は、自分の作品をなんとか舞台化したいという夢を持っていた。
約二時間にもなるであろうという台本を書き上げることの大変さは、誰よりも僕は知っている。
彼の夢がいつか実現することを祈って別れた。
若い殺陣野郎は、自転車で雨の町へと帰っていった。
そして、僕は終電間近の各駅停車で新宿へと向かったのだった。

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