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2006年4月 1日 (土)

僕の望み

Imgp2876 アユリテアトルのワークショップ発表会を見てきました。
この写真は、ゾンビの襲来のシーンではありません。
キャラクターつくりのためのウォーミングアップの風景です。

前にも書いたけど、このカンパニーはルコック演劇学校出身の若い役者さんたちがつくったもの。
当然のごとくウォーミングアップをふくめて、トレーニングはルコック式と言ってもいいかもしれない。
僕はルコックの書いた本は読んでいたけど、実際にトレーニングを受けたことはない。

彼らのトレーニングは、実は僕がいろんなところでやっていたトレーニングにすごく近いものだった。
だから僕にとっては、とりたてて目新しいものはほとんどなかったんだけど、ワークショップを受けにきている若い俳優志望の人たちにとっては、刺激的なものに映っているようだった。

はじめて演劇をやる人も、経験者も一緒になってゾンビ歩き。

このシステムは、体を動かすことで、心も動いてくるという考えかたからできている。
たしかにその通りのところはある。
心が動くということは、どういうことなのかというのを体に覚えさせていくのだ。

創造的な役者や作家や演出家を育てていくとき、こういうやりかたがきわめて効果的であることを、僕は知っている。
だから、このブログも体感脚本講座なのだ。

脚本作りという、きわめて脳内作業に思えるものを、体を動かすことで感じていく。
そんなシステムを考えている。

いずれ日本にも、このようなワークショップとか、演劇教育機関がしっかり確率されて、すぐれた役者や作家が生まれることを期待したい。
時代は、そういう方向に向かっていると感じている。

僕が、今回このワークショップの発表会を見に行きたかった理由の一つは、参加者のにまったく演劇経験のない中年男性が二人いたからだ。
前回、覗きにいったときに、この二人を見て、僕は『おもしろいなぁ』と感じていた。

なんでこの人たちが、ここにいるんだ?
まずそう思った。
この人たちは、いったい何者なんだ?
どこからみても中年のおっさん二人が、若い学生たちにまじって、体を動かし、照れ笑いしながら見当ちがいのインプロをやっている。
彼らが真面目にやっているだけに、それがおかしくてしかたがないのだ。

ここに、僕はコメディの原点を見た気がした。
意識せずにコメディの神様を呼び寄せた二人が、ここにいた。
ルコック風にいうならば、彼らの側にはクラウンがきていた。

彼らは、実に楽しそうにやっていた。
それがまた、おかしくてしかたがない。

ところがだ、帰り際にスーツ姿になった二人を見て、僕はまた驚くことになる。
さっきまでの『アホヅラ』はどこへやら。キリリとした有能そうなビジスネマンが、そこにいた。
えっ、これがさっきのあの人?
僕には、まるで別人みたいに見えた。
いまやコメディの神様も、クラウンも近くにはいない。

いったい、どっちが本当の彼なんだろう?

もしかしたら、さっきのワークショップで『なにもできない自分をさらけ出しアホヅラをさらしていた彼』が、本当の彼であり。彼が本当の自分をさらけ出すことができていたから、面白かったのではなかろうか。
今の常識人でビジネスマンの彼こそ、長年の人生で彼が『演じて』きたキャラクターなのではないか。

いろんなところに、いろんな芝居を見に行くのが僕の日常なのだが、いつもつまらない演技をする役者によく遭遇する。
演技しているのが、観客にわかってしまう瞬間、観客は冷めてしまう。
もちろんお芝居なのだから、演技しているのは、わかりきっていることなのだが、観客は、そこに『本当』を見たいのだ。

『本当』とは何なのか。
それをなんなくやってのけることができる役者こそ、いい役者なんだよなぁ。

そんないい役者たちと、一緒に仕事をしたいと思う今日このごろだ。
Imgp2890

そんな思いを胸に、桜の下散歩しつづける。

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