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2007年11月28日 (水)

過去からの電話

 高校時代の友人から、息子が役者志望で東京に行ったので、何か話をしてやってくれないかと電話があった。
 その友人は、高校で一年間同級生だった。
 もう何十年も会ってない。
 不思議な感覚だった。

 まさに時を超えた遭遇。
 僕のイメージの中には、高校時代のやんちゃだった16歳の彼の顔がある。
 しかし、まちがいなく電話の向こう側にいるのは、50歳も間近のおじさんなのだ。
 顔が見えないだけに、この感覚は新鮮だった。
 16歳の顔をした、50歳の男。

 彼は、なんだか変わっていた。
 そりゃ、そうだ。
 男が、何十年も年月を重ねたら、分別も良識もある。
 やんちゃで、トイレで煙草を吸っていた水泳部の少年が、息子の相談をしているのだ。

 16歳の顔をした、50歳の男は、今は三人の子供がいて、単身赴任で仕事をしていると言った。
 「息子が、役者になりたいというのを、やめろと言ったんだけど、息子がどうしても行くと言うので、出してやった。きみは、そっちの世界には詳しいと思うから、息子と会って、アドバイスをしてほしいのよ」
 あのやんちゃ小僧の口から、こんな言葉を聞くことになろうとは。
 人生は、なんて面白い。

 そこには息子のことを心底心配している親父がいた。
 大海に出て行こうとしている息子を、陰ながら応援している応援団長がいた。
 応援団長に頼まれたら、断るなんてできるわけない。
 僕も、応援団にくわわることにした。

 僕にできることなんて、ちょっとした水先案内くらいだけど、少しは役にたつかもしれない。
 あとは彼の息子が、自分で船を漕いでいくしかないのだ。
 それにしても、過去から電話がかかってきたような、不思議な感覚だった。

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コメント

ジャッキーさん、さすがです!
受けっぷりの良さと度胸に感動です。
偉大な水先案内人にして謙虚…
久しぶりにとても身近に感じることが
できて感無量な気持ちでいっぱいです。

投稿: ゆみりん | 2007年11月28日 (水) 12時46分

旧友の頼みというのは断れない。
たとえそれが偉人であれ分泌家であれ。
そんなこんなで
今年の年末も人前に出なくてはいけません。

教訓
【友達は選べない。そして∞なる幸・不幸】

投稿: とと | 2007年11月28日 (水) 21時32分

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