脚本の極意5回目
昨日は、締め切りだというのに、高校での授業もやらなければならず、かなり焦った。
でも、人は目の前で起こることに、フォーカスを当てて生きるしかないのです。
まだ書けていない原稿を置き去りにして、高校生たちの待つ稽古場に向かったのでした。
僕が、必死の思いで稽古場に来ているというのに、生徒たちは、半分ほどしか集まっていない。
これが劇団の稽古場だったら、とんでもないことなんだけど、まだまだ高校生、そのあたりの意識はかなり低いです。
中学などで不登校とかやってた子が多いせいもあるけど、授業をさぼるということに抵抗がないんですね。
演劇の稽古といえども、高校の授業の一環なので、まだ授業に出るっていう意識なわけ。
だから、平気でさぼってしまう。
このあたりの意識を、なんとか変えようと毎年がんばるんだけど、それがなんとか変わったころで卒業ってことになっちゃうんだよね。
しかし、ここでこっちがイライラしたら、ここで終わりになっちゃうんで、僕はじっくりと耐えて待つことを覚えました。
相手が、こちらの言葉を受け入れる準備ができるのを、待つんです。
けっしてあきらめず。
高校で演劇を教えるようになって、もう5年目だけど、僕のほうがずいぶん学んでいる気がします。
さて、四回にわたってつづけてきた『スターウォーズの第一作』を題材につかっての、脚本極意講座ですが、いよいよ最終回です。(この体感脚本講座の最終回じゃないよ。あくまでも、このシリーズ)
今回は、クライマックスの部分の分析と解説です。
さぁ、いってみましょう。
いままでの部分が、舞台の脚本でいうところの一幕と、二幕としたら、ここからが第三幕になります。
全体の起承転結でいうところの、『転』の部分。
この中にも、小さな起承転結があります。
○オビワンが死んだと思っておちこむルークをなぐさめるレイア。
○そこに追手がくる。(トラブル)空中戦になる。
○ハンソロとルーク、大活躍で、敵機を打ち落としていく。(爽快感の提示)
チューを毛嫌いしていたレイアも、思わず抱き合ってしまったりする。
オビワンの死という暗い場面のあとに、空中戦闘に勝つという爽快感のある場面を持ってくるあたり、脚本の構成が見事です。
脚本家は、観客の心理を見事にコントロールしていると言えるでしょう。
112分
○レイア姫の救出作戦は成功したと思ったが、実は、敵はわざと逃がしたのだった。
しかし、レイアは、それを読んでいた。
(レイアのキャラの立て方が見事。ただのおてんばキャラではなく、姫としての知性もあるいということろをちゃんと見せている)
○ハンソロとレイアは喧嘩するが、お互い、引かれあっていくのが、観客にはわかる。
ここで、ルークとレイアとハンソロの三角関係の成立。(トラブル)
○反乱軍基地に到着するファルコン号
○R2から、デススターの情報を取り出す、反乱軍。
しかし、デススターは、基地を発見していた。(トラブル)
○反乱軍は、小型飛行機で、敵の弱点を突くという作戦を立てる。
○デススターが、反乱軍の基地に迫ってくる。
○ルークは、反乱軍のパイロットに加わって、攻撃に参加することにする。
(主人公が、自分の意志をはっきりと見せて、変化を見せていることに気づいてください)
ハンソロは、金を受け取ったら、オサラバという感じ。しかし、なんとなく釈然としていない。
○ベンがいてくれたらと落ち込むルークに、またレイアがキスをしてくれる
落ち込んだ男の子が、女の子のはげましで元気をとりもどすのは、万国共通の行動原理ですね。(わかりやすい性格の主人公)
○ここで、ビッグスというパイロットと再会するが、そのまえふりは、まったくないので、なにかルークに関してのエピソードがカットされているということが推測できる。
(ルークが辺境地域では優秀なパイロットだったということの説明にはなっているが、そのためだけかもしれない!? 脚本では書かれていたが、フィルムになったときにそのシーンがなくなっているということは、よくあります。演出上の理由とか、いろんな理由です)
○ルークには、オビワンの声が聞こえる。
しかし、どういう理由で、そういう現象がおきているのか、物語の展開が急転直下なので、そういうところは観客は気にならなくなっている。
(最大のトラブルを切り抜けるために、登場人物たちが必死に動けば、観客は、もうそれについていくしかないって感じになってしまうわけです)
○デススターへの攻撃開始。敵も小型機で応戦してくる。
○この3幕の中での、『転』の部分に入っていきます。つまり、クライマックス。
○空中戦の連続。(いわゆる見せ場です)
やられていく反乱軍のパイロット。
○デススターの攻撃まであと数分。(トラブル。タイムサスペンス)
(タイムサスペンスというのは、エンターテイメントの脚本では、よく使います。みんなサスペンスが大好きなんです)
○反乱軍の攻撃機は、ダースベイダーたちに、次々にやられていく。(トラブル)
脚本極意12……クライマックスでは主人公を徹底的においつめること。
いったい、どうなるんだと、観客に思わせることができれば大成功。主人公が最大のピンチを切り抜けた時、観客は、主人公といっしょに、カタルシス(解放感)を得ることができるのです。
○ついにルーク一機だけとなる。
フォースをつかえととの、オビワンの声が聞こえる。
機械に頼らず、自分の力で、切り抜けようとするルーク。
ここも、大きなプロットポイントの一つですね。
R2もやられてしまう。(トラブル)
○デススターの射程に入り、時間がなくなる。(究極のピンチ)
○そこに、ハンソロが現れて、ベイダーを追いやってくれる。
(ハンソロのおいしいところ取り)
ダースベイダーは脱出していっているので、次の物語への、引きになっている。
○ぎりぎりのところで、デススターの爆破に成功するルーク。
宇宙に花火があがって、カタルシス(解放感)を得る。
ここからが、全体の起承転結の『結』です。
○基地に戻るルークを迎えるレイア姫。そこにハンソロもきて、三人抱き合う。
○表彰式
絵に描いたようにハッピーエンドだね。故障していたR2のピカピカに直っています。
脚本極意13……エンディングは、気持ちよく。あー、よかったと観客に思わせること。終わりよければ、すべてよし。
○脚本上達のためのチェックポイント
この物語を通じて、主人公は、何を得たか?
何が変わったかを、考えてみてください。
成長。友。恋。メダル。称賛。仲間。
そんなものを、主人公が得ていることがわかりますね。
主人公は、物語の最初と最後で、どう変わっていたでしょうか?
こんな感じで、いくつかヒット作品を分析してみてください。
それだけで、あなたの脚本術は、グーンと上がるはずです。
やはり、なんでも自分で体験し、発見したことにまさるものはありません。
体験してください。
そして、感じてください。
それこそが、体感脚本講座の極意なのだ。
ヌーン。
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